(以前アップした記事を大幅に加筆したものです)
現在大学への進学率は59%専門学校などを含む進学率は87%です(年々増加中)
すなわち高卒で社会に出ていく子供の割合は13%です
ところが現在館山市にお住まいの親御さんは
「我が子に対する教育のゴールは高校」と考えている方がほとんどです
しかし学年が上がるにつれ大学への意識が少しずつ高まってくるようで
多くの親御さんが、子供が高校2年の後半~3年生になって、やっと大学に意識を向け始め、有名私立大学や国立大学の偏差値を調べたり、難易度などを自分なりに解析し始めます
そして自分の子供には
「どうせ進学するんだったら国立大学に行ってほしい」と思うようです
(気持ちはわかります)
(1年間の授業料だけを比較しても)
(私立大学130万~190万円に対して国立大学54万円)
(年間100万円前後も差がありますもの)
しかし皆さんは偏差値とは何なのか知らないのではないですか?
いや、正しい偏差値の見方は知らないはずです
そこで今回は国立大学と私立大学、理系と文系の偏差値について少しだけ説明します
それではまず偏差値は、
偏差値を求めていく上の(公式の)特徴として受験科目が少ないと高数値が出てしまいます
私立大学の入試科目は3科目
それに対して国立大学の入試科目は8科目
したがって実際には国立大学の偏差値に5を足すと私立大学との比較が可能になります
しかし、この時点で表された偏差値は合格者全員の偏差値です
すなわち入学辞退して、より高偏差値の大学に進む者の数値まで入ったものです
国立大学は合格者ほぼ全員が入学しますが私立大学は東京理科大(MARCHより上の大学)は8割以上が辞退していますし、他の大学も7割~8割が辞退しています
それに私立大学最難関 慶應大学医学部医学科でも5割が辞退します
すなわち私立大学の偏差値を見る場合は入学者偏差値を見ないと正しく判断できないので、ここでも国立大学の偏差値に5を足すことで初めてまともな比較ができます
したがって私立大学の偏差値に対して国立大学は偏差値に10足すと正しい比較ができます
(ここでの比較とはともに理系学部でのものです)
(国立大学は数学必須ですので文系学部も理系学部も入試科目に数学が含まれます)
(大学受験における数学の難易度についてピンとこない方のためもう少し補足しておきますと、『自分は中学のとき数学が得意だった』という人の殆どが大学入試の数学は手も足も出ません。)
(高校数学は中学のそれとは別物です)
それに理系と文系では理系の方が圧倒的に学力が高いことは周知の事実ですが
偏差値では文系の方が高く出る性質があるので(理由は後ほど)
こちらも理系学部に5足したものが文系学部との正しい偏差値の比較になります
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ではここでこれらに関連した面白い話を紹介しておきます
私学の雄と称される早稲田大学は2021年度入試から政治経済学部の入試が1次試験(共通テスト)
で数学を必須としました
とはいえ、数1A範囲、共通テストのみ、配点は25/100でしかない
これだけ小規模にしか取り入れなかったにも関わらず、同学部の受験者は37%も減少しました
早稲田を受験するような超優秀な生徒たちでも数学入試は避けるのです
この例が示すように大学がより優秀な学生が欲しいと数学を入試科目として課すと受験生は逃げます
そして偏差値も下がります(理系の優秀な学生が増えれば偏差値が上がると思いましたか?ところが偏差値は下がります。理由は後ほど)
これは早稲田だからできましたが大学の経営上避けねばならない事態です
(だって偏差値が下がったら世間の皆さんや学生さんは大学のレベルが下がったって思いますよね)
このような理由から私立大学は受験科目を減らしていきました
入試科目を減らせば簡単に偏差値を上げられるからです
ではどの科目を減らそうか、文系が最も避ける数学を削ろう。となるわけです
数学を削ることが最も効果的に偏差値を操作する手段なのです
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では「理由は後ほど」の解説をします
偏差値の数字だけ見ると『文系>理系』と見られがちです
文系に比べて理系の偏差値が低めに出るのは事実です
これには理由があり、文系集団に比べると理系集団の方が基礎学力が高めなので
良い点を取っても高い偏差値が出にくいからです
この理由を簡単な具体例で説明すると
仮に数学のテストで文系集団の平均点が60点、理系集団の平均点が70点とします
A君が70点を取った場合、文系なら偏差値は57か58くらいになりますが、
理系で評価すると偏差値は50か51くらいです
もう一つ例を挙げるとマナビジョンで公開されてる2019年度偏差値一覧によると
私立大学の文系トップは慶應大学法学部で偏差値は82でした
一方の理系を見てみると慶應大学医学部で偏差値は75となっています
この例に示されるように理系の方が文系より偏差値が低く出る傾向があります
偏差値が示すものは「平均からどれだけ離れているか」
偏差値とは「ある集団の中における自分の位置が統計的にどのくらいにあるか」を表しています
そのため母体となる集団の数によって相対的な評価が変わります
偏差値が示すのは、「自分が母集団の中で平均からどのくらい離れているか」なので理系の方が文系より偏差値が低いのは「平均点が高いから」です
教科数も多く数学必須の国立大学の難易度がなんとな~くわかってきたかと思います
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最後に
これを最後まで読まれた方は安房地域の高校の偏差値について知りたいと思ったかもしれません。
申し訳ありませんが高校の偏差値は(文章化するつもりがないので)ザックリ言うと大学の偏差値とは全くの別物です。
とくに安房地域のような人口も少なく大手の塾も少なく模試を受ける生徒も少ないこの地域では高校偏差値は正確な数値が算出されません
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